地域活性化

学校を創るのは現役中高生!? 閉校した母校に中高生が学び舎を創った話

「現役中高生が学校を創るってどういうことだ!?」と疑問に思ってこのページに来たそこのあなた!!もちろん釣りのタイトルではありませんよ!(笑)

正真正銘、学校という“学びの場”を高校2年生 の時に私は創りました。

ご挨拶遅れました、私は安部小Project代表、高校3年生の内田奏杜と申します。

今回は、私が設立した安部小Projectを題材にSDGs第4番の教育と第11番の地域づくりの関係につ いて紐解き、中高生の可能性について考えていきたいと思います。

中高生団体『安部小Project』とは?

安部小Projectは、閉校した母校の安部小学校を卒業した現役中高生が集い設立した団体です。

『溢れる「地元愛」蘇れ!我が母校』をスローガンに、月1回の廃校舎内清掃活動や地域の方々にお越しいた だける安部っ子夏祭りを開催しています。

地域活性化と堅く捉えるのではなく『自分たちの「やりたい!」に母校で挑戦し「地元愛」を育む ことで地域に貢献する』ことを活動の方針としています。

母校で実行することに価値があるなど強固たる『』を定めた上で、ゆるく成り行きで活動をしています。

現在では16名の正式メンバーに加えて安部小Projectの方針に“共感”した多くの中高生が集まり、夏祭りのスタッフは37名(10の中学校・高等学校から集結)にまで増えました。

またその夏祭りには約400名の来場、資金調達や保険契約なども全て中高生が行い、メンバーの意欲向上や活動の作用による地域活性化の成果が認められ、鳥取県知事や福知山公立大学学長、Prudential生命,ジブラルタ生命主催の大会などで受賞しました。

安部小Projectを設立したきっかけ

安部小Projectを設立したきっかけは2つあります。

1つ目は母校が閉校した年の夏、校庭に雑草が繁茂していた光景を見て草を抜きたくなったのです(自分でも謎ですね笑)。

35°Cを超える酷暑の中、近所の後輩と2人で草取りをしました。その際に校舎の 中を見ると…なんとガラクタの山…!!「母校の汚さ」に何とも言えない虚しさを感じました。

そこ で、八頭町のHPの意見投稿に「掃除をさせてほしい」という旨の内容を書き込み、許可を頂いて秋に 廃校舎内清掃活動をスタートさせました。

2つ目は、現在の鳥取が中高生の「やりたい!」という好奇心に応えることのできる環境には整って いないと感じていたからです。

実際、県内の高校生が集まるイベントに参加した際にも「◯◯をやって みたいけど、先生や親に相談しても良いアドバイス貰えんし結局何もできてない…」という声が多く聞 こえました。

意欲があるのにもったいなすぎませんか!?

かくいう、私もそんな1人でした。そこでふと「中高生が中高生のための学校を創っちゃえば解決するんじゃないのか!?」と思い至ったのです。

敢えて、大人を交えない中高生団体を1つ創り、その中 で1人の「やりたい!」という提案に“共感”したメンバーが集まって、それをとことん追求する。 成功もあれば失敗もある。笑いもあれば涙もある。

でも、その中で得るものが人生に影響するほど の学びになるはずだと考えたのです。

このような「主体的な学びがある教育機関」が今の時代に求められる教育なのではないでしょうか? 

とはいえ、いきなり大きななことに挑戦するのは難題なので、安部という地域に限定し、地域と教育に目を向けて設立しました。

つまり、私の活動の原点は「地元愛&母校愛」と「地域×教育」に帰着するのです。

この2つの想い をベースに、清掃活動を進める中で、地域の方にお越し頂けるような機会を設けたいという案が浮かび、夏祭りの構想へと広がっていったのです。「安部小Project」を設立してから約4ヶ月で400人以上 の来客を実現した「安部っ子夏祭り」をやり遂げることができました。

新しい取り組みの難しさ

分かりきった話なのですが大きなことに挑戦するのは想像以上に困難でした。

教育の理想論が今すぐに実行可能ならば、正直もうすでに鳥取にもあり、誰かが実現していると思います。

だとすると、「やれない」か「やってこなかった」かの二択なのです。

常に変化する時代の中で、教育は果たしてアップ デートされているのかという疑問があります。

安部小Projectを設立する際、小規模校で幼馴染の仲がとても良かったことが幸運でメンバーは比較的すぐに集まりました。しかし、中高生にとって本業は勉学であり、人によって部活、趣味、恋愛、家庭環境などバラバラです。

さらに、当然ながら夏祭りの運営などやったこともありません。資金集めや保険契約なんてもってのほかです。

そんな中で私が最初に悩んだことは、どうやってメンバーを統一し、どうやってモチべーションを上げるのかでした。

私がとった行動は次の通りです。

  • メンバーから「やりたい!」ことを聞く
  • その中で私の独断でメンバーが「できること」「できるか微妙なこと」「できないこと」に分類
  • 活動の『軸』だけを全員が常に意識するようにして「できること」を自由にさせる
  • 失敗やトラブル(他団体とのすれ違いなど)を私が対処し、どうしたら良かったか皆んなで考える
  • 実行する時は、楽しむ・盛り上げる・青春の三要素を忘れない(3つとも同じなのは気にしない笑)
  • 「やりたい!」ことができたら打ち上げして次の構想を膨らます

という感じで、いたって普通です。

でも、当初はそこまでやる気のなかったメンバーがこのプロセスを通して最終的には凄く積極的になったのです。

というのも、第1回「安部っ子夏祭り」で最初は消極的だったメンバーが、夏祭りを終えた後「来年の第2回は自分たちでやってみたいです!」と言ってくれました。

そして、第2回を第1回とは違う趣向で本当にやってのけたのです。

私がメンバーに「自分たちのやりたいことを自分たちのできる範囲でやればいい。もし失敗したら自分(内田)が全部何とかするけ。」と常に言っていた甲斐もあったのか、第2回安部っ子夏祭りの時、メンバーの表情はとても輝いていました。

このことにProjectを設立した意義があったと感じています。

安部小Projectの事例は地域教育に活きるかもしれない

ここまでの記事を読んで「あれ?」となった人がいるかもしれません。

そもそも活動の実質的な起点は校庭の草取りであり、役場に掃除をさせてほしいと意見を書き込んだこと。もっと掘り下げると起点は安部小学校の閉校…いや、安部小が好きだという母校愛、安部が好きだという地元愛にあります。

この地元愛はいかにして形成されるのか。この「地元愛」こそ、もしかしたら「地域と教育」が育むものなのかもしれないと思うのです。

具体的に考えると、「軸を定めることで固定概念や流行に捉われない」というところと「成り行き」という2つにあると考えています。

そもそも『軸』がどうやってできるのかを考えると「点→線→平面→立体で成り立ち、立体に軸が ある」と私は思います。そしてその軸は人生の主軸すなわち「自己理念」になると考えています。

例えば、LEGOでお城を作るとします。1つのブロックでは到底お城には見えません。 でも、もう1つの LEGOを横に置いて広げていけば土台ができ、それを重ねていくと建物になります。

1つでもブロック という“”すなわち“きっかけ”が欠けるとその“立体”は成り立たないかもしれません。

たかが草取り、たかが役場への意見投稿。でもそれらがなければ安部小Projectという立体にはならなかったかもしれないのです。そして「母校で実行することに価値がある」という軸が、今では皆の中 で確固たるものとして認識するようになったのは、草取りなどの点を重ねてきたからだと感じています。

バブル教育になっていないか

近年「留学、ICT教育、グローバル化、プログラミング、アクティブラーニング、全員がリーダー」 など様々な言葉を耳にします。

これらは次世代の教育において本当に素晴らしいものだと思います。

でも、いたるところでこれらの言葉が使われる、すなわち流行ることが私にとっては疑問でしかなのです。本当に今のままで質の高い教育をみんなに提供できるのでしょうか?

昔、高度経済成長で信用誇張により価値が肥大化して実際の価値と大幅なズレが生じて崩れ落ちた 「バブル経済」によるバブル崩壊がありました。

この歴史と現在の教育が似ている気がするのです。たしかに先述した言葉の中身は素晴らしいものだと思います。

しかし、教える側の教員、習う側の生徒それぞれが、その言葉を使うまたはそれに向かって行く際に、定義づけがなされた上でその言葉が使われ ているのでしょうか。

私たちが行なっているような課外活動も同じです。 軸がないのに「経験になるから」とやったとしても、どれほど価値のある学びになるのかわかりません。

各々に軸があれば、それは人生の中の起点となる経験になるかもしれませんが、そうでないのならば、理想と現実を分けて考えなければいけないのではないでしょうか。

経験になるから」という言葉こそが「信用誇張」につながり、価値が肥大化して実際の価値と大幅なズレが生じる。なんなら 「バブル教育」と言ってもいいような気がします。

そんな流行りになんとなくで乗らない軸こそが大事なのかもしれない。

だからこそ、母校が使えなくなったら、やりたいことがなくなったら、安部小Projectは活動をやめるべきだと思っています。夏祭りをやるためのProjectにはならないでほしい、決して意味のない肥大化をしてほしくない。

軸がある上で「成り行き」に任せ、真剣に楽しく取り組んで欲しい。その強い執念 があるからこそ、安部小Projectは成果を出しているのだと思います。

中高生が新しい時代を創る

今、日本の中高生で安部小Projectのように課外活動をしている団体の数は正式なデータがないものの 約700団体はあると考えられます。

それらの中高生と話をしてみると成長した団体には『』を大事にし強い執念があるという共通点があることに気がつきます。

社会を知らない社会人の卵にさえなれてない、未熟な中高生。でも、やる気スイッチが入ればとんでもない勢いになります。

私は18歳ですが、今の中学生が起業することさえ、もう珍しくない感覚であり、Projectの運営などを通して、そのような可能性の塊である中学生から教わることもしばしばあります。

安部小Projectは今では、地域の方や県内外の中高生からも応援のメッセージをたくさんいただき“理解”ではなく“共感”を得られる活動になりました。

中高生が中高生のための学校を創る。自分たち の時代は自分たちで開拓し学びを深めることができる環境になればと考えています。

安部小Projectの今後と教育

私は「教育」こそが社会を変えると考えています。

安部小Projectの活動を通して中高生による“学び場の創造”が1番の理想なのではないかと再認識しました。

しかし、それを学校教育に取り入れるのは 無理難題です。なぜなら、「子供を管理したい大人」と「自由にさせることこそ学びだ」ということは 簡単には両立しないと考えるからです。だからこそ、そのような場面で、NPOや地域団体と連携することが大事なのだと考えます。

また、教師の中にも熱い想いのある先生はいます。そのような先生が有志で組織を立ちあげ、各校から興味のある生徒がその組織下で活動ができれば、「◯◯をやってみたいけど、先生や親に相談して も良いアドバイス貰えんし結局何もできてない…」という、意欲があるのにもったいなすぎる事案が少しでも解消できるのではないかと思います。

安部小Projectは令和2年秋にそのような学びを追求する組織へと改革を進めていきます。

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。

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